宗像市 住宅型有料老人ホーム ひさのさんを訪問してきました。
レポート | 2024.10.28
10月、北九州未来づくりラボの理事長の宮地と事務局の大野木が福岡県宗像市で活動をされている住宅型有料老人ホームひさのさんを訪問させていただきました。
普通の暮らしのなかに、老いがあり、死がある
老いや病で体が思うように動かなくなったとき、ぼけて自分の意思が伝えられなくなったとき、最も必要で大切なことは、それをあるがままに受け止める場と人です。
住み慣れた地域の、普通の日常生活のなかで、ありのままに老いていくことを支え、最後までともに暮らす。
自然な看取りや認知症のお年寄りとの生活から、わたしたちは多くのことを学んでいます。
体や心の不具合を安易に医療に丸投げするのではなく、まず生活(食べる、排泄する、眠る)を整える。
生身の体と心の声に耳を傾け、生命の法則に沿ったかかわりが、老いていく体に無理なく馴染み、安らかな命の終わりにつながっていくことを実感しています。
ぜひ遊びにきてください。
(住宅型有料老人ホームひさのHPより https://hachitomitsu75.wixsite.com/-site-3)
普通のくらしのなかで最期まですごす。
人生の最期は家族や地域の人に囲まれて過ごすというのが、かつての日本の当たり前でした。
しかし、核家族化、医療の発展、生活様式の多様化、様々な理由もあいまって、今では多くの方が医療の現場で最期を迎えられているのではないでしょうか。
代表の田中さんは看護師として医療の現場で高齢者の最期に多く立会、チューブでつながれて死を迎える患者さんの姿を見て、最期は普通の家で迎えられないのかと感じていたそうです。
その後、自宅で安らかに息を引き取った祖母の姿から、「畳の上で死ぬ」というひとつの最期の形を経験し、祖父母が暮らした家を老人ホームとして開設されました。
「最後まで祖母が暮らしていたので、ほとんど改修をしていません」と言いながら、田中さんが施設を案内してくださいました。全部で6つの部屋があり、定員は8名。見学させていただいたときも、お部屋でゆっくりと過ごされている方や、リビングで入居者同士で談笑している方など、皆さま自然体でゆっくり過ごされているように感じます。
症状も深刻化し、(食べ物がのどを通らなくなり)食べられなくなった方でも、ここに入居されると食べられるようになる人は多いと、田中さんは教えてくださいました。医療は発展し、検査を通して症状の名前と処方箋は出してもらい、治療するというのが現代の医療の主流ですが、「待つ治療」もあるということを田中さんはおっしゃっていました。
「人間に備わる自然治癒力があるので、本人の意思に従い、じっくり待てばゆっくりと回復していく方も多い」とのことで、もちろん老いていく中で完全に回復することはなくとも、ゆったりと人間の自然な暮らしの中で最期を迎えられるようになるそうです。ポイントは「(本人が自分自身が)老いていくこと、周りに迷惑をかけることも受け入れる」ということだそうです。そうすることで、身の回りのあらゆることが受け入れられて心が軽くなる。多くの人の看取りをしてきた経験から語る言葉にとても重みがありました。
北九州未来づくりラボが相談を受ける空き家にも、平屋で和室が多い日本家屋があります。こうした物件は、ひさのさんのような形態の老人ホームにも活用できるということを勉強させていただきながら、事業として経営していく中での心構えを教えていただきました。
「こうした老人ホームがもっと増えたらと思うし、興味のある方はぜひご連絡ください」と田中さんはおっしゃいます。ご興味のある方はぜひ、ひさのさんのホームページ等をご覧いただければと思います。
住宅型有料老人ホームひさの
https://hachitomitsu75.wixsite.com/-site-3
住まいづくり / 宗像市 / 居場所づくり / 支援団体訪問 / 福岡県